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睡眠時無呼吸症候群とストレスの関係とは?ストレスが原因で発症するのか

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年09月28日

「最近、よく眠れない」「寝ても疲れが取れない」と感じていませんか?

こうした症状が続くと、ストレスや睡眠不足が原因だと思うかもしれません。

しかし、いびきや日中の強い眠気などがある場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。

では、ストレスが原因で睡眠時無呼吸症候群になるのでしょうか。また、睡眠時無呼吸症候群とストレスには、どのような関係があるのでしょうか。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の原因や症状、ストレスとの関係について詳しく解説します。

1.睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気か


睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることを繰り返す病気です。

1-1.就寝中の呼吸の異常で睡眠の質が低下

睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気です。

呼吸が止まるたびに、脳が一瞬目を覚ましてしまうため、本人が気づかないうちに深い眠りが妨げられ、睡眠の質が大きく低下してしまいます。

その結果、朝起きても疲れが取れなかったり、日中に強い眠気を感じることがあります。

さらに放置すると、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクが高まることも知られています。

1-2.代表的な症状

睡眠時無呼吸症候群では、本人が睡眠中の異常に気づかないことも少なくありません。

そのため、家族から指摘されて初めて気づくケースもあります。

代表的な症状には、次のようなものがあります。

 ・大きないびきをかく

 ・睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される

 ・寝ている間に息苦しさを感じたり、むせたりする

 ・夜中に何度も目が覚める

 ・朝起きたときに口が乾いている

 ・起床時に頭痛がある

特に「大きないびきをかく」「いびきの途中で呼吸が止まる」といった症状は、睡眠時無呼吸症候群を疑うきっかけになります。

1-3.睡眠の質が低下することで起こる日中の症状

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠の質が低下することで、日中にも以下のような症状が現れることがあります。

 ・集中力や注意力が低下する

 ・仕事や勉強の能率が落ちる

 ・イライラしやすくなる

 ・日中の強い眠気

 ・居眠り運転

このような症状は「疲れがたまっている」「ストレスのせい」と考えられやすいものです。

しかし実際は、睡眠時無呼吸症候群が原因で睡眠の質が低下しているために引き起こされた可能性もあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群」についてもっとくわしく>>

2.睡眠時無呼吸症候群の種類と原因

睡眠時無呼吸症候群には、いくつかのタイプがあります。

なかでも多いのが、睡眠中に気道がふさがることで起こる「閉塞性睡眠時無呼吸」です。

2-1.睡眠時無呼吸症候群・2つのタイプ

睡眠時無呼吸症候群は、大きく「閉塞性」と「中枢性」に分けられます。

閉塞性は、睡眠中に舌や喉の周囲の組織が気道をふさぐことで、呼吸が妨げられるタイプです。

一方、中枢性では、呼吸を調整する脳からの指令が一時的に弱くなることで呼吸が止まります。

【参考情報】『Central sleep apnea』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/central-sleep-apnea/symptoms-causes/syc-20352109

一般的に「睡眠時無呼吸症候群」として問題になることが多いのは、閉塞性です。

2-2.閉塞性の主な原因

閉塞性の代表的な要因の一つが肥満です。首の周囲に脂肪がつくことで、気道が狭くなりやすくなります。

【参考情報】『Neck size one risk factor for obstructive sleep apnea』Mayo Clinic
https://newsnetwork.mayoclinic.org/discussion/mayo-clinic-q-and-a-neck-size-one-risk-factor-for-obstructive-sleep-apnea/

一方で、痩せている人でも、あごが小さい、あごが後ろに下がっている、舌が大きいといった構造上の理由で、睡眠中に気道が狭くなったりふさがることがあります。

◆「痩せているのにいびきがひどい!その理由と対策」>>

加齢によって喉の周囲の筋肉がゆるみやすくなることや、アルコールによって喉の筋肉がゆるむことでも、睡眠中に気道がふさがりやすくなることがあります。

また、アレルギー性鼻炎などによる鼻づまりがあると、鼻から呼吸しにくくなり、睡眠中の呼吸に影響することがあります。

このように、睡眠時無呼吸症候群は一つの原因だけで起こるとは限りません。体の構造や体重、年齢、生活習慣など、複数の要因が重なって発症することがあります。

3.ストレスが原因で睡眠時無呼吸症候群になる?

ストレスそのものが睡眠時無呼吸症候群の直接的な原因になるわけではありません。

一方で、ストレスは睡眠や生活習慣に影響を与えるため、睡眠時無呼吸症候群と無関係とも言い切れません。

3-2.ストレスは睡眠や生活習慣に影響する

ストレスが強くなると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりするなど、睡眠に影響することがあります。また、睡眠時間が短くなったり、生活リズムが乱れたりすることもあります。

こうした状態が続くと、「眠っても疲れが取れない」「日中に集中できない」といった不調を感じることがあります。

ただし、こうした症状があるからといって、ストレスだけが原因とは限りません。睡眠時無呼吸症候群のほか、不眠症やうつ病など、ほかの問題が関係している可能性もあります。

3-2.ストレスによる不眠と睡眠時無呼吸症候群は別の問題

ストレスによる不眠と睡眠時無呼吸症候群では、睡眠に問題が起こる仕組みが異なります。

ストレスによる不眠では、「仕事や人間関係のことを考えてしまって眠れない」「寝床に入ると頭が冴えてしまう」など、眠りにつくことや眠りを維持すること自体が問題になりやすいです。

一方、睡眠時無呼吸症候群では、大きないびきや睡眠中の呼吸停止、息苦しさなど、睡眠中の呼吸の異常が手がかりになります。

ただし、両方が同時に起こることもあります。睡眠時無呼吸症候群と不眠の併存は「COMISA(comorbid insomnia and sleep apnea)」と呼ばれ、睡眠の問題を考えるうえで重要な組み合わせです。

【参考情報】『Comorbid Insomnia and Obstructive Sleep Apnea (COMISA): Current Concepts of Patient Management』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8430469/

3-3.ストレスによる不眠と睡眠時無呼吸症候群を見分ける目安

項目ストレスによる不眠睡眠時無呼吸症候群
主な原因ストレスや不安、緊張など睡眠中に気道が狭くなったり、ふさがったりする
眠りにつくまでなかなか眠れないことがある問題なく眠れることも多い
夜中に目が覚める原因不安や考え事など呼吸が止まる、息苦しさなど
いびき必ずしもみられない大きないびきがみられることがある
睡眠中の呼吸停止通常はみられないみられることがある
朝の症状寝不足感、疲労感など疲労感、口の渇き、頭痛など
日中の症状疲労感、集中力低下など強い眠気、集中力低下、疲労感など

4.睡眠時無呼吸症候群かも?と思ったら


睡眠時無呼吸症候群が疑われる症状がある場合は、検査で睡眠中の呼吸状態を確認することができます。

4-1.簡易検査

簡易検査は、自宅で行える睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査です。

就寝時に、鼻の気流を測るセンサーや、指先に付けて血中酸素の状態を調べるセンサーなどを装着し、睡眠中の呼吸の状態を記録します。

専用の装置を借りて自宅で一晩過ごすだけなので、普段に近い環境で受けられます。

この検査でわかるのは、無呼吸や低呼吸の回数、血中酸素の低下の程度などです。ただし、脳波は測らないため、睡眠の深さや質までは調べられません。

結果から睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合や、より詳しい診断が必要な場合は、に進むことがあります。

◆「簡易検査」についてくわしく>>

4-2.精密検査

精密検査は、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)と呼ばれています。

脳波、眼球の動き、筋電図、心電図、鼻や口の気流、胸やお腹の動き、血中酸素の状態、いびき音などを、一晩を通して詳しく記録します。

この検査では、無呼吸や低呼吸の回数や血中酸素の低下の程度に加えて、眠りの深さや、途中で目が覚めていないかといった睡眠の質までわかります。

そのため、睡眠時無呼吸症候群の確定診断や重症度の判定、治療方針を決めるための重要な検査とされています。

医療機関に一泊して行うこともある検査ですが、当院では自宅でできる精密検査を実施しています。

◆「精密検査」についてくわしく>>

4-3.睡眠時無呼吸症候群以外の原因が気になる場合は?

日中の眠気や疲労感、不眠、集中力の低下などは、睡眠時無呼吸症候群だけでなく、睡眠不足やストレス、うつ病など、さまざまな原因で起こります。

「いびきや呼吸停止はないけれど、眠れない」「気分の落ち込みが続いている」など、睡眠時無呼吸症候群とは別の原因が気になる場合は、その症状を中心に医療機関へ相談しましょう。

何科を受診すればよいかわからない場合は、まず内科に相談する方法もあります。症状や経過を確認したうえで、必要に応じて適切な診療科や検査につないでもらうことができます。

5.睡眠時無呼吸症候群の治療


睡眠時無呼吸症候群の治療は、原因や重症度、症状などによって異なります。

5-1.CPAP

CPAP(シーパップ)は、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法です。

就寝時に鼻にマスクを付け、専用の装置から一定の圧力の空気を送り込むことで、睡眠中に気道がふさがるのを防ぎます。

使い始めると、いびきや無呼吸が減り、睡眠の質が上がって日中の眠気が軽くなることが期待できます。

ただし、CPAPは根本的に病気を治すものではなく、使っている間だけ効果が得られる治療です。そのため、継続して使うことが大切です。

◆「CPAP」についてくわしく>>

5-2.マウスピース

マウスピースを睡眠中に装着し、下あごを前方に移動させることで、気道を確保しやすくする治療法もあります。

CPAP療法が難しい場合や、一定の条件に当てはまる閉塞性睡眠時無呼吸症候群の人では、マウスピースが治療の選択肢になることがあります。

マウスピースは歯やあごの状態なども考慮して作製する必要があるため、歯科と連携する必要があります。

◆「マウスピース」の情報をチェック>>

5-3.手術

扁桃肥大や鼻づまり、あごの形など、気道が狭くなる明らかな原因がある場合に検討されます。

近年は、舌を動かす神経を刺激して気道を確保する治療が行われることもあります。

【参考情報】『Hypoglossal Nerve Stimulation Implant for Sleep Apnea』Johns Hopkins Medicine
https://www.hopkinsmedicine.org/health/conditions-and-diseases/obstructive-sleep-apnea/hypoglossal-nerve-stimulation

手術の効果は原因や方法によって異なり、すべての人に十分な効果があるわけではありません。また、手術後も、体重管理や生活習慣の見直しが必要になることがあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群の手術」について>>

5-4.生活習慣を見直す

睡眠時無呼吸症候群では、生活習慣を見直すことも治療の一部になります。

肥満がある場合は、体重を適正な範囲に近づけることで、気道が狭くなることを抑えられる可能性があります。

また、飲酒によって喉の筋肉がゆるみ、睡眠中に気道がふさがりやすくなることがあるため、就寝前の飲酒を控えることも大切です。

横向きに寝ることで、仰向けに比べて気道がふさがりにくくなる人もいます。

ただし、生活習慣の見直しだけで十分な改善が得られない場合もあります。必要な治療を受けながら、生活習慣を整えていくことが大切です。

5-5.中枢性睡眠時無呼吸症候群の治療

中枢性睡眠時無呼吸症候群は、気道がふさがることではなく、脳から呼吸筋への指令が一時的に弱くなることなどによって起こります。

そのため、閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは治療の考え方が異なります。

心不全など、背景に別の病気がある場合には、その病気の治療が重要になります。

6.睡眠時無呼吸症候群とストレスに関して当院でよくある質問

Q.睡眠時無呼吸症候群の治療をすると、ストレスも軽くなりますか?

睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下している場合、治療によって睡眠が改善すると、日中の疲労感や眠気などが軽くなることがあります。

ただし、ストレスの原因が仕事や人間関係など別のところにある場合、睡眠時無呼吸症候群を治療しただけですべてのストレスが解消するとは限りません。

睡眠時無呼吸症候群とストレスの両方がある場合は、それぞれの問題に応じた対処が必要です。

Q.強いストレスがある時期だけ、いびきや無呼吸がひどくなることはありますか?

ストレスそのものが気道を直接ふさいで睡眠時無呼吸症候群を引き起こすわけではありません。

しかし、強いストレスによって睡眠時間が短くなったり、飲酒量が増えたり、生活リズムが乱れたりすると、睡眠状態や睡眠時無呼吸症候群の症状に影響する可能性があります。

Q.ストレスが原因だと思っていた疲れや眠気が、睡眠時無呼吸症候群の治療で改善することはありますか?

あります。睡眠時無呼吸症候群では、本人が気づかないうちに睡眠が何度も妨げられるため、十分な時間眠っていても疲労感や日中の眠気が残ることがあります。

「仕事が忙しいから」「ストレスがたまっているから」と考えていた症状が、睡眠時無呼吸症候群の治療によって改善することもあります。

ただし、疲労感や眠気にはさまざまな原因があるため、症状が改善しない場合は別の原因についても検討する必要があります。

6.おわりに

「疲れが取れない」「日中に眠い」「眠っているはずなのにすっきりしない」といった症状を、ストレスだけが原因だと考えてしまうと、睡眠時無呼吸症候群に気づけないことがあります。

大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある場合は、ストレスや睡眠不足だけで片づけず、睡眠中の呼吸に問題がないか調べてみることも大切です。

ストレスによる不眠と睡眠時無呼吸症候群は、症状が似ている部分があっても、原因や対処法は異なります。自分の不調の原因を知ることが、適切な対策につながります。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 咳が2週間以上続いている
  • 息切れや息苦しさを感じることがある
  • 痰がからんで気になる
  • 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
  • 市販薬を飲んでも症状が改善しない

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?

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