・呼吸をすると「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする
・咳が止まらず、夜中や明け方に目が覚めてしまう
・風邪は治ったはずなのに、咳だけが長く続いている
このような症状がある場合、喘息(ぜんそく)が関係していることがあります。
咳は日常的によくみられる症状のため、
「もう少し様子を見よう」
「年齢のせいかもしれない」
と受診のタイミングを迷われる方も少なくありません。
しかし、喘息は自然に治る一時的な病気ではなく、状態を正しく評価し、治療によってコントロールしていく病気です。
気になる症状が続く場合は、外来で一度状況を整理しておくことで、今後の見通しが立てやすくなります。
喘息は気道の慢性的な炎症によって起こる病気です
喘息は、空気の通り道である「気道」に慢性的な炎症が起こる病気です。
炎症が続くことで気道が腫れ、刺激に対して過敏になり、咳、痰、息苦しさ、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)といった症状が現れます。
重要なのは、症状が出ていない時にも炎症そのものは残っていることが多いという点です。
そのため、症状が軽くなったからといって治療を中断すると、再び悪化しやすくなります。
喘息は「発作が起きた時だけの病気」ではなく、長期的に状態を管理していく病気であることを理解することが大切です。
【参考情報】『気管支ぜんそく』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html
喘息では、咳や痰、息苦しさ、喘鳴が代表的な症状としてみられます。
人によっては、胸の違和感や喉のつかえ感、息を深く吸えない感じとして自覚されることもあります。
症状の強さや出方には個人差があり、
「息苦しさはないが咳だけが続く」
「風邪のたびに咳が長引く」
といった形で現れることもあります。
喘息の症状は、次のような状況で出やすい傾向があります。
特に夜間から明け方に症状が出やすいのは、自律神経の変化や、気道が狭くなりやすい時間帯であることが関係しています。
「決まった時間帯に咳が出る」「特定の状況で悪化する」という場合は、喘息を疑う重要な手がかりになります。
【参考情報】米国国立心肺血液研究所(NHLBI)ガイドライン ”Asthma Causes and Triggers”(原文英語)
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/causes
喘鳴や強い息苦しさが目立たず、咳だけが続くタイプの喘息(咳喘息)もあります。
といった特徴があり、通常の風邪や気管支炎と区別が難しいことがあります。
「そのうち治るだろう」と様子を見ているうちに、咳が長期化してしまうケースも少なくありません。
咳が続く場合は、咳喘息を含めた評価を行うことで、治療方針が明確になります。
喘息治療で最も大切なのは、発作が起きた時に対処することだけでなく、発作が起きにくい状態を維持することです。
発作時に使用する薬は一時的に症状を和らげますが、
炎症そのものを抑える治療を行わなければ、根本的な改善にはつながりません。
を踏まえたうえで、患者さん一人ひとりに合った治療方針を立てていきます。
治療のゴールは、状態を保つことです。
【参考情報】『成人喘息の疫学、診断、治療と保健指導、患者教育』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jouhou01-07.pdf
喘息の治療では、目の前に出ている咳や息苦しさだけでなく、
なぜその症状が起きているのか、今どの段階にあるのかを考えることが重要です。
例えば、
「咳が出たら薬を使えばよい」
「症状が治まったら治療は終わり」
と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、喘息の症状の原因は、気道に続いている炎症です。
そのため、咳止めなどで一時的に症状が楽になっても、炎症が十分に抑えられていなければ、再び症状が出やすくなります。
外来診療では、といった点を整理しながら、治療の方針を立てていきます。
症状が軽い場合でも、治療を行うことで将来的な悪化を防げるケースもあり、外来では患者さん一人ひとりの状態に合わせて、治療の強さや内容を調整していきます。
【参考情報】『成人ぜん息の治療、治療の全体図』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/index.html
喘息治療の基本となるのが、吸入ステロイド薬です。
吸入薬は気道に直接作用し、炎症を抑えることで、発作の予防につながります。
内服薬と比べて使用量が非常に少なく、全身への影響が抑えられる点が特徴です。
治療を続けて状態が安定すれば、医師の判断のもとで薬の量を調整していくこともあります。
喘息外来では、治療を始める際に、さまざまな疑問や不安の声をお聞きします。
よくあるのが、
「吸入薬を使うということは、もう重い病気なのではないか」
「一度治療を始めたら、ずっと薬を使い続けなければならないのではないか」
といった不安です。
しかし、吸入薬を使用すること自体が重症であることを意味するわけではありません。
喘息は、症状の強さだけでなく、気道の炎症がどの程度続いているかを考えながら治療方針を決めていく病気です。
症状が軽く見えても、炎症が続いている場合には、早めに治療を行うことで、将来的な悪化を防げることがあります。
そのため外来では、「今つらいかどうか」だけでなく、「これからどうなりやすい状態か」という視点も含めて治療を考えています。
また、
「今は症状が出ていないのに、なぜ治療が必要なのか」
という疑問を持たれる方も少なくありません。
これは、喘息では症状がなくても、気道の炎症が持続していることが多いためです。 症状がない期間にも治療を続けることで、発作が起きにくい状態を保ちやすくなります。
喘息治療は、画一的なものではありません。
年齢、生活リズム、症状の出方、これまでの経過によって、外来で相談しながら治療内容を調整していきます。
喘息は完治が難しい病気のため、治療は長期的に続けていくことが基本となります。
外来診療では、症状や経過を確認しながら、必要に応じて治療内容を調整していくという考え方を大切にしています。
などを外来で確認します。
状態が安定してくれば、医師の判断のもとで、薬の量を減らしたり、治療内容を見直したりすることもあります。
一方で、症状が再び出てくる場合には、治療を調整しながらコントロールを目指します。
このように、喘息は「治療して終わり」の病気ではなく、
外来で経過を見ながら管理していく病気です。
外来でのフォローを通じて、
「この状態なら大丈夫そう」
「この変化は注意が必要」
といった判断を積み重ねていくことで、安心して日常生活を送れる状態を維持しやすくなります。
治療について不安や疑問がある場合も、外来で一つずつ確認しながら進めていくことが大切です。
◆「喘息治療の治療目標について」>>
喘息の診断では、検査結果だけでなく、症状の経過を詳しく確認することが重要です。
これらを丁寧に整理したうえで、必要に応じて検査を行い、他の病気との違いも含めて総合的に判断します。
喘息の場合、1回の外来受診ですぐに診断が確定しないことも少なくありません。
外来では、
を確認しながら、診断を進めていくことがあります。
「様子を見ましょう」と言われた経験がある方もいらっしゃるかもしれませんが、
これは放置するという意味ではなく、外来で経過を追いながら判断するための重要なプロセスです。
を外来診療の中で段階的に行います。
初診外来では症状や経過を整理し、必要な検査や治療方針を検討します。
再診では症状の変化や生活への影響を確認しながら、治療内容を調整していきます。
「どのくらい治療を続ければいいのか」
「この治療で大丈夫なのか」
といった不安についても、外来で一つずつ確認しながら進めていきます。
症状が落ち着いてくると、治療をやめたくなる方もいらっしゃいます。
しかし、症状が出ていない時期でも、気道では炎症が続いていることが少なくありません。
治療を中断すると、咳や息苦しさといった症状が再び出やすくなるだけでなく、慢性的な炎症によって、気道が狭くなったまま元に戻りにくくなる変化(リモデリング)が進行することがあります。
このような変化が進むと、将来的に治療が効きにくくなったり、症状が重くなりやすくなることがあります。
喘息は、症状がない=治ったとは限らない病気です。
医師と相談しながら治療を継続することが、長期的に安定した状態を保つことにつながります。
適切な治療によって喘息をコントロールできるようになると、夜間の咳や息苦しさが減り、日常生活を安心して送れるようになります。
仕事や家事、運動や趣味なども、症状を過度に気にすることなく続けられるようになります。
【参考情報】『気管支喘息について~発作と安定期治療について~』日本呼吸器学会
https://hospi.sakura.ne.jp/wp/wp-content/themes/generalist/img/medical/jhn-cq-gotocyuoh-200207.pdf
ここまでお読みいただいたように、喘息は発作が出たときだけ対応する病気ではなく、日頃から炎症をコントロールしていくことで、症状を安定させていく病気です。
正しい治療を続けて、状態をきちんとコントロールできれば、発作の心配が減り、健康な方と変わらない生活を送ることも可能です。
夜間の発作で眠れないことがなくなり、趣味やスポーツも安心して楽しめるようになりますので、医師と相談しながら治療を継続していきましょう。
このような場合は、喘息外来での相談をご検討ください。
状態を確認することで、今後の治療方針や見通しが立てやすくなります。
東海大学医学部専門診療学系小児科学 教授
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