発作のように咳が出る!考えられる原因・病気・対処法

「突然激しい咳が出て止まらない」など、発作のような咳が繰り返し起こる人は、風邪とは違う別の病気が原因で症状が現れているのかもしれません。
考えられる原因としては、呼吸器の病気やアレルギーなどがあります。
この記事では、発作のような咳の原因や考えられる病気、そして、咳がつらい時にできる一時的な対処法を解説します。
1.咳の発作とは
「いつもの風邪なら少し休めば落ち着くはずなのに、今回は急に激しく咳き込んでしまう」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
医学的に「発作」と呼ばれる状態は、一般的な咳とは性質が異なる場合があります。ご自身の症状を正しく理解し、適切なケアにつなげるために、まずは「発作」という言葉の定義から詳しく見ていきましょう。
1-1.医療における「発作」の定義
発作とは、病気の症状が一時的に、かつ急激に現れる状態を指します。
てんかんや心臓発作、パニック発作などが代表的ですが、呼吸器疾患においても、急激に強い咳が現れる状態を「咳の発作」と呼びます。
1-2.「発作のような咳」の症状の特徴
急に咳き込み、一度出始めると自分の意志では止められない状態です。
「喉がムズムズ・イガイガする」といった前兆のあと、激しく咳き込んで、時には嘔吐や強い倦怠感を伴うこともあります。
◆「喉がムズムズ・イガイガしたり咳が止まらないのはなぜ?」>>
会話が中断したり、睡眠が妨げられたりと、日常生活に大きな支障をきたすのが特徴です。
1-3.夜間・早朝に悪化しやすい理由
発作的な咳は、特に夜間から早朝にかけて現れやすい傾向があります。
自律神経の影響: 夜間はリラックスを司る「副交感神経」が優位になり、気管支が収縮して狭くなるため、刺激に対して敏感になります。
ホルモンバランス: 炎症を抑える「コルチゾール」の分泌が早朝に低下し、気道(空気の通り道)の炎症が強まりやすくなります。
姿勢の影響: 横になると鼻水が喉へ流れ込みやすくなる「後鼻漏(こうびろう)」や、胃酸の逆流が起こりやすくなり、咳を誘発します。
【参考情報】『Q3. 夜間や早朝にせきが出ます。』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q03.html
2.発作のような咳の原因となる主な病気
発作のような咳が出る病気の多くは呼吸器疾患ですが、鼻や心臓の病気でも咳が出て止まらなくなることがあります。
2-1.呼吸器感染症(風邪・肺炎など)
ウイルスや細菌による炎症が原因です。特に以下の疾患では激しい咳発作が見られます。
・マイコプラズマ肺炎:細菌に感染して起こる、発熱や長引く咳が特徴の肺炎
・百日咳:コンコンと激しく突き上げるような咳が特徴
・新型コロナウイルス感染症の後遺症
2-2.アレルギー
ダニ、花粉、ペットの毛などのアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)を吸い込むことで気道が過敏に反応します。
2-3.喘息
喘息は、「ゼーゼー、ヒューヒュー」という呼吸音(喘鳴:ぜんめい)を伴うのが特徴です。慢性的な炎症により気道が狭くなり、わずかな刺激で激しい咳発作が起こります。
2-4.咳喘息
咳喘息は、喘息とよく似た病気ですが、息苦しさや喘鳴などの呼吸困難の症状はほとんど見られず、乾いた咳だけが長く続く病気です。
放置すると「喘息」へ移行するリスクがあるため、早期の専門的治療が推奨されます。特に子どもでは、大人よりもさらに高い確率で移行すると言われています。
2-5.COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDとは、タバコなどの有害物質により肺が壊れる病気です。
階段の上り下りでの息切れや、粘り気のある痰を伴う咳が特徴です。
2-6.呼吸器以外の病気
呼吸器以外の病気でも、急に咳が出て止まらなくなることがあります。
・副鼻腔炎: 鼻水が喉に垂れる刺激(後鼻漏)による咳
・胃食道逆流症(GERD): 逆流した胃酸が気道を刺激する咳
・心不全: 肺に血流が滞り、横になると咳が出る「心臓喘息」と呼ばれる状態
3.呼吸器内科で行う検査
発作のような咳がたびたびある場合、呼吸器内科では原因を調べるため、以下のような検査を行います。
3-1.画像検査
X線(レントゲン)やCT(コンピューター断層撮影)で肺周辺の画像を撮影し、撮影した画像を見て異常を確認します。
炎症や腫瘍など、肺に異常があれば、その部分が白く写ります。また、COPDの人は、健康な人よりも肺が黒っぽく写ることがあります。
3-2.血液検査
血液を採取して、血液中の抗体や細胞の数などを確認します。
アレルギーの有無や、アレルギーの原因となる物質が特定できるため、アレルギー疾患を疑う場合に行われることも多いです。
3-3.呼吸機能検査
専用の医療機器を用いて、肺の機能や呼吸の状態を調べる検査です。スパイロメトリーやモストグラフなどの種類があります。
喘息や咳喘息、COPDなどの疑いがある場合に行います。
4.咳が止まらない時の応急的な対処法
この章では、咳がつらい時にできる対処法を紹介します。あくまで一時的な方法ですが、少しでも咳を和らげたいときに試してみてください。
4-1.水分補給で喉を潤す
喉の乾燥は咳を誘発します。
喉を刺激しない常温か温かい飲み物を少しずつ飲みましょう。
4-2.湿度の調整
室内を湿度50~60%に保つことで、気道の粘膜を保護します。
加湿器がなければ、部屋に洗濯物や濡れたタオルを干してもよいでしょう。
4-3.上半身を少し高くして休む
完全に横になるよりも、クッションなどで上半身を少し高く(起座呼吸に近い状態に)すると、呼吸が楽になり咳が落ち着きやすくなります。
4-4.アレルゲンの除去
アレルギーが原因だと判明している場合は、原因となる物質を避ける・取り除くことが大切です。
特に寝室は、ダニやホコリなどのアレルゲンが溜まりやすい場所です。こまめな掃除や寝具の洗濯で、アレルゲンを減らしましょう。空気清浄機を利用するのもいいでしょう。
4-5.ハチミツの活用(1歳以上)
ハチミツには喉の粘膜を保護する働きがあると考えられています。
ただし、糖分は水分を引き寄せる性質があり、喉から水分を奪ってしまうこともあるため、スプーン一杯程度を目安に摂りすぎないようにしましょう。
※注意点: 1歳未満の乳児には、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、絶対に与えないでください。
【参考情報】『Effect of honey, dextromethorphan, and no treatment on nocturnal cough and sleep quality for coughing children and their parents』PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18056558/
また、これらはあくまでホームケアであり、症状が改善しない場合は医療機関の受診をおすすめします。
4-6.発作治療薬の服用
喘息と診断されている人は、咳の発作が出たら、病院で処方された発作治療薬(リリーバー)を服用しましょう。
治療により症状が抑えられていた人でも、風邪などの呼吸器感染症などがきっかけで、急に喘息の発作が起きてしまうことがあります。
もし、発作の回数が増え、以前より発作治療薬の使用回数が増えてきたと感じた場合は、医師に相談しましょう。
5.咳発作を予防する生活習慣
咳発作を繰り返さないためには、日常生活での予防が大切です。
5-1.感染症の予防
風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症は、咳喘息や喘息の発作を引き起こすきっかけになります。
手洗い、うがいを徹底し、人混みではマスクを着用しましょう。また、インフルエンザワクチンの接種も予防に役立ちます。
【参考情報】『インフルエンザの感染を防ぐポイント』政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/article/200909/entry-8422.html
5-2.気温や湿度の管理
急激な気温の変化は発作のきっかけになりやすいため、外出時には薄手の服を重ね着して、体温を一定に保つよう心がけましょう。
冷たい空気を直接吸い込まないよう、外出時にはマスクやマフラーを着用することも効果的です。
また、乾燥を防ぐため、加湿器の使用や濡れたタオルを干すなど、室内の湿度は40~60%に保ちましょう。
5-3.禁煙と受動喫煙の回避
タバコの煙は気道を強く刺激し、咳発作を誘発します。
喫煙している方は禁煙を、そして家族や周囲の方の協力も必要です。受動喫煙も避けるようにしましょう。
5-4.ストレスと過労の管理
ストレスや過労は、気道を過敏にさせる要因となります。
十分な睡眠と休息を確保し、生活リズムを整えることが大切です。
【参考情報】『“咳症状”と“ストレス”との関係(1)』福岡病院
https://fukuoka.hosp.go.jp/psm-info/post-14532/
6.おわりに
発作のような咳を繰り返す時には、喘息をはじめとした呼吸器の病気やアレルギーなどを疑います。
これらの原因で咳が続いているなら、市販薬では効果が感じられないかもしれません。
もし、突然激しい咳が出ることがたびたびあったり、発作のように咳が止まらなくなることが続く場合は、病院を受診して原因を調べ、適切な治療を受けましょう。









