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呼吸器内科を受診すべき喉の痛みとは?

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年05月18日

喉には、ウイルスや細菌、ホコリなどの異物が体内に侵入するのを防ぐ機能が備わっています。しかし、何らかの原因でこの機能が低下すると痛みが生じることがあります。

この記事では、喉が痛くなる原因と、呼吸器内科で診療できる病気について解説します。喉の痛みがなかなか良くならない人や、たびたび喉が痛くなる人、喉が弱いと感じている人は、ぜひ読んでください。

1.喉が痛くなる原因

喉の痛みの原因の多くは、風邪をはじめとした呼吸器の感染症によるものですが、感染症以外の原因で喉が痛くなることもあります。

1−1.ウイルス・細菌感染

風邪のウイルスが喉に感染して炎症を起こすと痛みが生じます。

風邪以外にも、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などのウイルスや肺炎球菌などの細菌が喉に感染して痛くなることがあります。

◆「喉がムズムズ・イガイガしたり咳が止まらないのはなぜ?」>>

1−2.感染症以外の病気

感染症以外で喉が痛くなる病気には、以下のようなものがあります。

・逆流性食道炎
胃酸がこみあげてくることで食道が荒れ、喉が痛くなります。

・心疾患
狭心症や心筋梗塞などで胸の痛みが発生した時、喉や背中も痛むことがあります。

・がん(咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肺がんなど)
食べ物を飲み込んだ時に、喉に痛みや違和感が生じることがあります。

その他、花粉症や鼻炎などで鼻が詰まっている人は、口呼吸が原因で喉の粘膜が乾燥して痛くなることがあります。

【参考情報】『Mouth Breathing』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/22734-mouth-breathing#:~:text=Mouth%20breathing%20is%20when%20people%20rely%20on%20taking%20in%20air,soggy%20pillows%20and%20dry%20mouths.

1−3.病気以外の原因

声を張り上げての歌唱やスポーツの応援、喫煙や飲酒などで喉の粘膜が刺激されると痛くなることがあります。

また、空気が乾燥すると、喉の粘膜も乾燥して痛くなることがあります。

◆「咳が止まらない時こそ乾燥に注意!」>>

2.呼吸器内科で扱う喉の痛み


喉が痛い時、どの診療科を受診したらいいのか迷うこともあるかもしれません。

例えば、発熱や鼻水など風邪のような症状が出ているなら、一般内科で診てもらってもいいでしょう。

喉の痛みのほか、咳や痰、息苦しさがひどい時は、呼吸器内科の受診を検討してください。例えば、以下のような人は、呼吸器の病気が原因で喉の痛みが生じている可能性があります。

2−1.何度も咳が出て喉が痛くなる

喘息や肺炎などで何度も激しい咳が出ると、喉の粘膜が刺激を受けて痛くなります。

◆「喘息の症状・検査・治療の基本情報」>>

2−2.咳払いのし過ぎで喉が痛くなる

COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺がんなどで痰がしつこく出る人は、痰を切るために咳払いをし過ぎて喉が痛くなることがあります。

◆「咳がとまらない・しつこい痰・息切れは、COPDの危険信号」>>

2−3.長年タバコを吸っていて喉が痛い

タバコに含まれる有害物質に刺激されて喉の粘膜が荒れ、喘息やCOPD、肺がんを発症している可能性があります。

◆「タバコで咳が出る理由と、咳が長引くときに疑われる3つの病気」>>

3.どんな検査をするのか


呼吸器内科では、必要に応じて以下の検査を行います。

3−1.画像検査

レントゲン写真で、肺の中に異変がないかどうかを確認します。

3−2.呼吸機能検査

肺年齢を調べるスパイロメトリー、気道の状態を確認するモストグラフなどの検査があります。

3−3.血液検査

アレルギーの有無や原因物質、白血球などの値を調べます。生活習慣病を併発していないかどうかを確認するために行うこともあります。

その他、医師の判断によっては喀痰細胞診や気管支鏡検査などを行うことがあります。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査について」>>

4.どんな治療をするのか


喉の痛みの原因がわかったら、以下のような治療を行います。

4−1.風邪などのウイルス感染症

風邪や新型コロナウイルス感染症の場合、病気を根本的に治す薬はないのですが、喉の痛みがつらい時は、痛みを和らげる薬を処方します。

インフルエンザなど治療薬がある病気は、その病気に合った治療薬を処方します。

4−2.肺炎などの細菌感染症

原因となる病原体に合った抗菌薬を処方します。症状が重い場合や周囲の人に感染する恐れがある場合は、入院治療をすることもあります。

4−3.喘息

喘息の発作を予防する薬と、発作が起こった場合の治療薬を処方します。

4−4.COPD

呼吸をラクにするため、気管支拡張薬を処方します。また、体調や症状に応じて、吸入ステロイド薬や去痰薬も処方します。

4−5.肺がん

手術、放射線治療、薬物療法の3つの治療法があります。がんの種類や進行度などを考慮して、適した治療法を決めます。

【参考情報】『肺がんの治療について』国立がん研究センター 中央病院
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/thoracic_surgery/140/index.html

5.おわりに

喉の痛みの多くは2週間以内に治るので、市販薬で症状を和らげながら様子を見ている人も多いでしょう。

ただし、2週間以上痛みが良くならない場合は、市販薬では治療できない病気の可能性があります。痛いというほどではないけれど違和感がある、という人も含めて、市販薬で症状が良くならない人は、早めに呼吸器内科を受診して専門医に相談してください。

◆横浜市で呼吸器内科をお探しなら>>

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