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いびきは病気のサイン?原因と対処法、治療について解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年07月13日

いびきはよくあることですが、単なる生活習慣の問題とは限らず、体からの重要なサインであることも少なくありません。

疲労や飲酒などによる一時的ないびきであれば大きな問題にならないこともありますが、毎晩のように大きないびきをかいたり、睡眠中に呼吸が止まったりする場合は、睡眠時無呼吸症候群をはじめとした病気が隠れている可能性があります。

さらに、いびきを放置すると、睡眠の質が低下するだけでなく、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気につながることもあります。そのため、「ただのいびき」と自己判断せず、原因を見極めることが大切です。

この記事では、いびきが起こる原因や病気との関係、受診を検討すべき症状の目安、自分でできる対処法や医療機関で行われる治療についてわかりやすく解説します。

1.いびきは病気のサイン?心配のないいびきとの違い


まずは、心配のないいびきと、病気が疑われるいびきの違いを確認してみましょう。

1-1.一時的ないびき

一時的ないびきは、生活習慣や体調の変化が原因となって起こることが多く、その原因が改善されれば自然と治まることが少なくありません。

例えば、次のような場合は一時的ないびきである可能性があります。

 ・疲労やストレスがたまっている

 ・飲酒後だけいびきをかく

 ・睡眠不足が続いている

 ・風邪やアレルギーなどによる一時的な鼻づまりがある

このようないびきは、十分な睡眠をとる、寝酒を控える、鼻づまりを改善するといった対策によって改善が期待できます。

◆「いびきの原因は鼻?鼻といびきの関係・改善方法を解説」>>

1-2.病気が疑われるいびき

一方で、次のようないびきは病気が原因となっている可能性があるため注意が必要です。

 ・毎晩のようにいびきをかく 

 ・家族が眠れないほど大きないびきをかく

 ・いびきの途中で呼吸が止まる

 ・仕事や運転中に居眠りしそうになる

 ・起床時に頭痛や口の渇きを感じる

特に、いびきと呼吸停止を繰り返す場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。

2. いびきをかく原因と対処法


いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで起こります。

原因によって適切な対処法は異なるため、自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。

2-1.疲労やストレス


疲労やストレスが続くと睡眠の質が低下し、一時的にいびきが目立つことがあります。

このようないびきは、疲労やストレスが解消されると改善することがほとんどです。

数日休んだり、忙しい時期が過ぎたりするといびきが軽くなる場合は、一時的な疲労が原因である可能性があります。

2-2.飲酒


アルコールには筋肉を緩める作用があるため、飲酒後はのど周囲の筋肉も普段より緩みやすくなります。その結果、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

【参考情報】『Impact of Alcohol Consumption on Snoring and Sleep Apnea: A Systematic Review and Meta-analysis』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32513091/

また、睡眠時無呼吸症候群のある人では、飲酒によって無呼吸の回数や時間が増え、症状が悪化することもあります。

お酒を楽しむ場合は、寝酒を避けることに加え、就寝の2~3時間前までに飲み終えるよう心がけると、睡眠中のアルコールの影響をある程度減らすことができます。

また、一度にたくさん飲まず、適量を守ることもいびきの予防につながります。

2-3.喫煙


喫煙を続けると、たばこの煙に含まれる有害物質によって気道に慢性的な炎症が起こります。その炎症によって気道が狭くなり、いびきの原因となります。

【参考情報】『Does Smoking Affect OSA? What about Smoking Cessation?』National Library of Medicine
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9457519/

禁煙によって気道の炎症が改善すると、いびきが軽くなることが期待できます。また、睡眠時無呼吸症候群や心血管疾患などのリスクを下げることにもつながります。

◆「喫煙と睡眠」の関係>>

2-4.睡眠薬


睡眠薬の中には、のど周囲の筋肉を緩める作用を持つものがあり、服用によっていびきをかきやすくなったり、睡眠時無呼吸症候群を悪化させたりすることがあります。

ただし、睡眠薬にはさまざまな種類があり、すべての薬が同じような影響を与えるわけではありません。

いびきが気になるからといって自己判断で服用を中止すると、治療中の症状が悪化したり、離脱症状が現れたりすることがあります。

睡眠薬を服用中にいびきが気になり始めた場合は、自己判断で中止せず、処方した医師に相談しましょう。必要に応じて、薬の種類や用量の見直しが検討されます。

◆「睡眠時無呼吸症候群でも使える睡眠薬とは?」>>

2-5.肥満


肥満になると、お腹や腕だけでなく、首やのど周囲にも脂肪がつきます。睡眠中はもともとのど周囲の筋肉が緩むため、脂肪によって気道がさらに圧迫され、空気の通り道が狭くなることでいびきをかきやすくなります。

また、体重が増えるほどいびきが大きくなったり、睡眠中に呼吸が止まりやすくなったりする傾向があります。特に、以前より体重が増えてからいびきを指摘されるようになった人は、体重の変化が影響している可能性があります。

一方で、肥満が原因のいびきは、体重を減らすことで改善が期待できます。体重が5~10%程度減少するだけでも、いびきが軽くなる人は少なくありません。

【参考情報】『適正体重 自分の適正体重を知ろう!』日本医師会
https://www.med.or.jp/forest/health/eat/11.html

◆「いびきの原因は肥満?」>>

2-6.鼻づまり


鼻が詰まると鼻で呼吸しにくくなり、無意識のうちに口呼吸になりやすくなります。口呼吸では気道が狭くなりやすいため、いびきの原因となります。

◆「いびきと口呼吸の関係」についてくわしく>>

例えば、風邪で鼻が詰まったときにもいびきが出ることがありますが、この場合は風邪が治ればいびきも治まります。

一方で、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などで慢性的に鼻が詰まっているのなら、鼻づまりの原因となっている病気を治療しなければ、いびきはなかなか治まりません。

また、左右の鼻の穴を仕切る「鼻中隔」が大きく曲がっている鼻中隔弯曲症では、鼻の空気の通りが悪くなるため、慢性的な鼻づまりや口呼吸を招き、いびきをかきやすくなります。

【参考情報】『鼻中隔弯曲症〈びちゅうかくわんきょくしょう〉』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease_kids/index.php?content_id=19

2-7.骨格・扁桃肥大


もともと顎が小さい人や下顎が後退している人は、舌がのどの奥へ落ち込みやすく、気道が狭くなるため、肥満でなくてもいびきをかくことがあります。

また、扁桃が大きい人や、小児に多いアデノイド肥大でも気道が狭くなり、いびきの原因となります。

◆「痩せている人のいびき」について>>

2-8.女性の更年期


女性は閉経後、更年期に入ると、プロゲステロンやエストロゲンなどの女性ホルモンが減少します。

これらのホルモンは呼吸や上気道を支える筋肉の働きに関わっているため、更年期以降はいびきをかきやすくなると考えられています。

【参考情報】『Obstructive Sleep Apnoea in Women: What Do We Know and What Don’t We Know?』National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41077622/

さらに、更年期は基礎代謝が低下して体重が増えやすくなる時期でもあり、肥満が重なるといびきや睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まります。

更年期以降のいびき対策としては、適正体重を維持することや、適度な運動によって筋力を保つことが大切です。

◆「更年期以降の女性のいびき」について>>

3. 睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気?

毎晩のように大きないびきが出る場合、最も疑われる病気が睡眠時無呼吸症候群です。

3-1.睡眠時無呼吸症候群の特徴

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気です。

呼吸が止まるたびに体は酸素不足となり、脳は呼吸を再開させるために短時間目を覚ます「覚醒」を繰り返します。

しかし、多くの場合は本人に自覚がないため、未診断のまま過ごしている人も多いとされています。

実際には、こうした覚醒が一晩に何十回、重症になると何百回も繰り返されており、深い眠りにつくことができません。

そのため、「朝起きても疲れが取れない」「日中に強い眠気に襲われる」といった不調が現れやすくなります。

さらに、体が酸素不足の状態を繰り返すことで心臓や血管にも負担がかかり、高血圧や不整脈、心筋梗塞、脳卒中といった生活習慣病のリスクを高めることも分かっています。

3-2.睡眠時無呼吸症候群の主な症状

睡眠時無呼吸症候群では、次のような症状がみられます。

 ・毎晩のように大きないびきをかく

 ・睡眠中に呼吸が止まる

 ・日中に強い眠気がある

 ・起床時に頭痛がする

 ・朝起きたときに口が乾いている

 ・夜中に何度もトイレへ起きる

 ・寝汗をかく

 ・熟睡感がなく、疲れが取れない

 ・集中力や記憶力が低下する

3-3.睡眠時無呼吸症候群を放置すると?

睡眠時無呼吸症候群を放置すると、睡眠中に何度も酸素不足を繰り返すことで、心臓や血管に大きな負担がかかります。

その結果、次のような病気を発症するリスクが高くなることが知られています。

 ・高血圧

 ・心筋梗塞

 ・脳卒中

 ・不整脈

 ・糖尿病

また、強い眠気や集中力の低下によって、自動車の運転中や仕事中の事故につながる危険性もあります。実際に、睡眠時無呼吸症候群による居眠り運転が重大事故の原因となった事例も報告されています。

◆「睡眠時無呼吸症候群の合併症」についてくわしく>>

3-4.睡眠時無呼吸症候群の検査

睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、まず医師が症状や生活習慣、既往歴などについて問診を行います。

その後、必要に応じて自宅で行える簡易検査を実施します。小型の検査機器を装着して一晩眠るだけで、呼吸の状態や酸素濃度などを測定できます。

◆「簡易検査」について>>

簡易検査で詳しい評価が必要と判断された場合は、医療機関に入院する、あるいは自宅でより詳細な検査機器を使用して、睡眠中の脳波や呼吸、心拍数などを詳しく調べる精密検査を行います。※当院では自宅での精密検査を実施しています

◆「精密検査」について>>

3-5.睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因に応じて選択されます。

中等症から重症の場合は、CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)という医療機器を用いて、就寝時に専用のマスクを装着して空気を送り込むことで、気道がふさがるのを防ぐことが一般的です。

◆「CPAP」についてくわしく>>

軽症の場合や顎の形が原因となっている場合には、就寝時に装着するマウスピースが有効なことがあります。

◆「マウスピース」の情報をチェック>>

また、肥満が原因の一つとなっている人では、減量によって症状が改善することがあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群は減量で改善する?」>>

さらに、扁桃肥大や鼻の病気などが原因となっている場合には、手術が検討されることもあります。

◆「睡眠時無呼吸症候群の手術」について>>

4. 何科を受診すればいい?


いびきが気になっても、「何科を受診すればよいかわからない」と迷う人は少なくありません。

いびきの原因は、鼻の病気から睡眠中の呼吸の異常までさまざまであるため、症状に応じて適切な診療科を選ぶことが大切です。

以下を目安に受診先を選びましょう。

症状おすすめの診療科
鼻づまり・鼻水が続く耳鼻咽喉科
毎晩のように大きないびきをかく呼吸器内科・睡眠外来
家族から睡眠中の呼吸停止を指摘された呼吸器内科・睡眠外来
日中の強い眠気や集中力の低下がある呼吸器内科・睡眠外来
子どものいびき小児科・耳鼻咽喉科

◆「呼吸器内科で睡眠時無呼吸症候群の検査と治療ができます」>>

5. おわりに

いびきは、疲労や飲酒などが原因で一時的に起こることもあり、誰にでもみられる症状です。そのため、いびきをかくからといって、必ずしも病気とは限りません。

しかし、毎晩のように大きないびきをかく場合や、睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある場合、日中の強い眠気や起床時の頭痛などを伴う場合は、病気が隠れている可能性があります。特に睡眠時無呼吸症候群は、自覚症状が少ないまま進行することも多く、放置すると高血圧や糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病や心血管疾患のリスクを高めることが知られています。

いびきは睡眠中に起こるため、自分では気付きにくい症状です。家族からいびきを指摘されたり、呼吸が止まっていると言われたりした場合は、そのまま放置せず、一度医療機関で相談することをおすすめします。

適切な検査で原因を明らかにし、必要に応じて治療を受けることで、いびきだけでなく睡眠の質や日中の生活の質の改善も期待できます。気になる症状がある方は、早めに呼吸器内科や睡眠外来、耳鼻咽喉科などを受診しましょう。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 咳が2週間以上続いている
  • 息切れや息苦しさを感じることがある
  • 痰がからんで気になる
  • 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
  • 市販薬を飲んでも症状が改善しない

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?

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