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睡眠時無呼吸症候群治療のゴールと治療法

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2022年10月19日

睡眠時無呼吸症候群と診断されたら、CPAP(シーパップ)をはじめとした装置による呼吸をサポートする治療と、肥満など症状を悪化させる原因へのアプローチが必要となります。

症状をコントロールして、心筋梗塞などの合併症を防ぐには、正しい治療を気長に続けることが何より大事です。そのためにも、治療の意味をよく理解し、納得しておきましょう。

1.睡眠時無呼吸症候群治療のゴール

睡眠時無呼吸症候群の治療のゴールは、日中の眠気などの症状を改善するとともに、命にかかわるような合併症を予防して、健康な人と変わらない生活を送ることです。

◆「睡眠時無呼吸症候群の症状・検査・治療の基本情報」>>

◆「睡眠時無呼吸症候群の危険度チェック」>>

1−1.改善したい症状

睡眠時無呼吸症候群の主な症状は、以下となります。

・睡眠中に断続的に起こる無呼吸および低酸素状態
・激しいいびき
・日中の眠気
・起床時の頭痛や疲労感

◆「そのいびき、睡眠時無呼吸症候群のせいかもしれません」>>

1−2.予防したい合併症

睡眠時無呼吸症候群の主な合併症は、以下となります。

・高血圧
・脳卒中
・心筋梗塞
・糖尿病などの持病の悪化

治療せずに放っておくと、いびきで寝室をともにする家族やパートナーの安眠を妨げたり、日中の眠気が原因で交通事故を起こすなど、人間関係や社会的信用にも悪影響を及ぼす恐れがあります。

重症度を測る指標であるAHIが5未満になることを目指し、継続して治療に取り組みましょう。

◆「睡眠時無呼吸症候群の重症度がわかる指標「AHI」について」>>

2.いつまで治療を続ければいいのか


CPAPなどの装置を使った治療は、症状を改善したり、合併症を防ぐための対症療法であり、病気そのものを治すことはできません。したがって、基本的には治療を長く続けていく必要があります。

しかし、肥満によって発病した方は、症状が軽いうちなら、減量によって治療がいらなくなる可能性もあります。ただし、ふたたび体重が増えるとまた症状が現れます。

治療によって症状が改善すると「治った」と思いがちです。しかし、調子が良くなったからといって自己判断で治療を中断すると、元の状態に戻ってしまいます。

睡眠時無呼吸症候群は、現代の医学では完治することは難しい病気ではありますが、適切な治療と自己管理を継続することで、健康な人と変わらない生活を送ることができます。

【参考情報】『Weight loss, breathing devices still best for treating obstructive sleep apnea』Harvard Health Publishing
https://www.health.harvard.edu/blog/weight-loss-breathing-devices-still-best-for-treating-obstructive-sleep-apnea-201310026713

3.睡眠時無呼吸症候群の主な3つの治療法

睡眠時無呼吸症候群の治療では、CPAPなどの装置で症状をやわらげるとともに、病気の原因となる健康状態を改善したり、症状を悪化させる生活習慣を見直すことも大切です。

3−1.無呼吸状態を防ぐ装置


睡眠中の無呼吸や低酸素状態を防ぐためには、CPAP、ASV、マウスピースなどの呼吸を助ける装置を用います。

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療で使う「CPAP」とは?」>>

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療で使う「ASV」とは?」>>

◆「睡眠時無呼吸症候群の治療で使う「マウスピース」とは?」>>

これらの療法によっていびきや無呼吸が改善すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが、健康な人と同程度まで抑えられることがわかっています。

3−2.肥満、病気の改善

医師から肥満を指摘された方は、食事と運動を見直して減量に取り組んでください。ただし、無理なダイエットは心身への負担が大きく、しかもリバウンドしやすいので、主治医や栄養士と相談して、あせらずに少しずつ体重を落としていきましょう。

◆「当院の栄養カウンセリングについて」>>

慢性副鼻腔炎(ちくのう)や鼻アレルギー、扁桃肥大など、鼻や喉の病気が症状を悪化させている場合もあります。思い当たる方は、病院を受診して適切な治療を受けると、睡眠の質や量が良くなる可能性があります。

【参考情報】『成人の扁桃肥大による睡眠時無呼吸症候群』石塚洋一・平石光俊・小島千絵|帝京大学溝口病院耳鼻咽喉科
https://www.jstage.jst.go.jp/article/stomatopharyngology1989/16/3/16_3_275/_pdf

まれに、心臓や神経の病気により、睡眠時無呼吸症候群になることがあります。その場合も、原因となる病気の治療が必要となります。

3−3.生活習慣の見直し

お酒の量が増えると、症状が悪化することがあります。飲酒の習慣がある人は、適切な量を愉しみ、寝る前には飲まないようにしましょう。

タバコは気道の炎症を引き起こし、睡眠中の呼吸に悪影響を及ぼす恐れがあります。喫煙者は、早めに禁煙することをおすすめします。

◆「当院の禁煙治療について」>>

眠りが浅いからといって、睡眠薬や精神安定剤を服用すると、薬の作用で症状が悪化する恐れがあります。うつ病の治療などでそれらの薬が必要な方は、初診時に持参して医師に見せてください。

枕を変えたり、横向きに寝ることで、少し症状が改善されることもあるので、試してみてもいいでしょう。

4.おわりに

睡眠時無呼吸症候群は、正しい治療を続けていれば、日中の眠気や疲れが改善し、仕事や生活に良い変化が訪れます。

心身の健康を守り、毎日ぐっすり眠れる生活を目指して、治療を続けていきましょう。

◆「当院の睡眠時無呼吸症候群の治療について」>>

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