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いびきで旅行が不安な方へ 原因と対策を専門医が解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年06月11日

旅行中のいびきが気になっている方は、少なくありません。

「同室の人の眠りを邪魔してしまうかも」「移動中に周りの人に聞こえてしまうかも」と心配で、旅行を楽しみきれないこともあるのではないでしょうか。

いびきは適切な対策を取ることで、軽減できる場合があります。

旅行をもっと気持ちよく楽しむために、早めに対策を知っておきましょう。

この記事では、旅行前や旅行中にできるいびき対策を紹介します。

1.いびきのメカニズムと原因


いびきは、眠っているときに気道が狭くなり、喉の粘膜が振動して音が出る現象です。

ここでは、いびきの主な原因と、いびきをかきやすい方の特徴について解説します。

1-1.いびきが起こる原因

いびきが起こる主な原因には、次のようなものがあります。

<いびきの原因>
・風邪による鼻づまり
・疲労
・ストレス
・飲酒

これらが原因のいびきは一時的なもので、原因となる病気や疲れなどが改善すれば、自然とおさまることが多いでしょう。

ただし、毎日のようにいびきが続く場合は、睡眠時無呼吸症候群副鼻腔炎などの慢性的な病気が関係している可能性も考えられます。

【参考情報】『Snoring』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/snoring/symptoms-causes/syc-20377694

◆「いびきは病気のサイン?」>>

1-2.いびきをかきやすい方の特徴

次の特徴に当てはまる方は、いびきをかきやすい傾向があります。

・肥満・体重増加(首周りに脂肪がつき気道が狭くなる)
・下顎(あご)が小さい・顎が細い
・首が太くて短い
・扁桃腺が大きい
・慢性的な鼻づまり(アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎など)
・加齢(喉周りの筋力が低下する)
・女性は閉経後(女性ホルモンが減少するといびきをかきやすくなる)

【参考情報】『Risk Factors for Sleep Apnea』National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/causes

1-3.骨格・体型といびきの関係

いびきは肥満の方に多いイメージがありますが、骨格的な要因が関係していることもあります。

特に下顎が小さい方や後退気味の方は、眠っているときに舌の根元が喉の奥に落ち込みやすく、気道が狭くなりやすい傾向があるとされています。

日本人を含むアジア人は、欧米人に比べて下顎が小さく、後退した骨格の方が多い傾向があり、体型に関わらずいびきをかきやすいと言われています。

【参考情報】『あごの形態が大いに関与する睡眠時無呼吸症候群』福岡歯科大学医科歯科総合病院
https://h.fdcnet.ac.jp/mimiyori/dentistry/page34

2.旅行中にいびきが出やすくなる理由と周囲への影響


普段はそれ程いびきをかかない方でも、旅行中に限っていびきがひどくなった、という経験を持つ方は少なくありません。

この章では、なぜ旅行中にいびきが悪化しやすいのかを説明します。

2-1.同室の方の睡眠にも影響することがある


旅行中はいつもと違う環境で過ごすため、なかなか寝付けなかったり、眠りが浅くなる人が多いものです。

そのため、普段より音に敏感になりやすく、いびきが気になりやすい状況になることもあるでしょう。

ホテルや旅館の部屋だけではなく、移動中も同様です。

長時間のフライトや深夜バスでうとうとしているとき、いびきが出ると周囲の方の眠りに影響することがあります。

移動中もできる対策を知っておくと安心でしょう。

【参考情報】『About Sleep』Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/sleep/about/

2-2.旅先でいびきが悪化する環境的な理由

旅行中は次のような要因が重なり、いつもよりいびきが出やすくなります。

・疲労とストレス
観光や移動による疲れ・環境の変化によるストレスで筋肉がゆるみやすくなり、のどの気道が狭くなることでいびきをかきやすくなるといわれています。

・枕の高さや硬さが違う
枕が高すぎると気道が狭くなりやすく、低すぎても舌の根元が落ち込みやすくなります。自分に合った高さに調整することがいびき予防につながるでしょう。

・部屋の乾燥
エアコンによる乾燥で鼻やのどの粘膜が炎症を起こしやすくなり、いびきが出やすくなることがあります。口を開けたまま眠ると翌朝のどの痛みにつながることもあるため、加湿器の使用や就寝前の水分補給を心がけましょう。

・アレルギー反応
旅先の花粉・ホコリ・ダニなどでアレルギー性鼻炎が悪化すると、鼻づまりから口呼吸になりいびきをかきやすくなることがあります。特に春先は事前の対策がおすすめです。

2-3.睡眠の質の低下による疲労

いびきは同行者の睡眠を妨げるだけでなく、自分自身の睡眠の質にも影響することがあります。

いびきをかいているときの気道は狭くなっているため、体内に十分な酸素を取り込みにくく、睡眠中に呼吸が浅くなりやすいといわれています。

そのため、ちゃんと寝ていたつもりでも、実は熟睡できていないことがあります。

翌日もしっかり旅行を楽しむために、睡眠の質を保つことはとても大切でしょう。

◆「いびきは睡眠の質を下げる?原因と影響を解説します」>>

【参考情報】『Sleep Apnea Symptoms』National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/symptoms

2-4.お互いが気持ちよく過ごすために


いびきが続くと、同行者も「言い出しにくいな」と感じたり、お互いが気を遣いすぎてしまうこともあります。

旅行をみんなで楽しむためにも、事前に対策を話し合っておくことがおすすめです。

たとえば「いびきが出るかもしれないから耳栓を持ってきてほしい」と事前に伝えておくだけでも、お互いが安心して旅行を楽しむことが出来るでしょう。

コミュニケーションが、いびきによるストレスを減らす一番のカギになることもあります。

3.旅行前にできるいびき対策


旅行当日になってから慌てるよりも、事前にできることから始めておくのが安心です。

生活習慣の改善やグッズの準備など、日頃からできる取り組みがいびきの軽減に役立つこともあります。

ここでは、旅行前に実践しておきたい対策を紹介します。

3-1.まず自分のいびきを確認する

自分がどれ位いびきをかいているか気になる方は、スマートフォンのいびき録音アプリを使って確認してみましょう。

アプリを枕元に置いて眠ると、いびきの音や大きさを記録してくれます。

自分のいびきの音を初めて聞いて驚く方も多いようです。

いびきが非常に大きい、途中で音が途切れる(呼吸が止まっている)、という場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性がありますので、早めに医療機関に相談することをおすすめします。

【参考情報】『What Is Sleep Apnea?』National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea

3-2.生活習慣の見直し


肥満飲酒喫煙が、いびきの原因となることがあります。

これらに心当たりのある方は、生活習慣の改善に取り組んでみましょう。

肥満体型の方は、減量して適正体重に戻すことで、脂肪による気道の圧迫が和らぎ、いびきが改善されることがあります。

◆「いびきの原因は肥満?」>>

また、アルコールには筋弛緩作用があるため、お酒を飲むと上気道の筋肉がゆるんで狭くなり、いびきが出やすくなります。

お酒を飲むときは、飲酒量を控えたり、寝る4時間くらい前までに飲み終えるとよいでしょう。

さらに、タバコに含まれる化学物質は、上気道の粘膜に炎症を引き起こすため、気道が腫れて狭くなります。

喫煙者は禁煙することでこの腫れが治まり、いびきが改善される可能性があります。

【参考情報】『Healthy Sleep Habits』National Sleep Foundation
https://www.thensf.org/sleep-tips/

3-3.いびき防止グッズを用意する

旅行中、同行者みんなが快適に眠れるよう、いびき防止グッズを活用するのも一つの方法です。

マウスピースや、いびきの原因となる口呼吸を防止するテープなどを使用することで、いびきを軽減して快適な睡眠を得ることができれば、旅行中も安心です。

旅行用に持ち運びやすいグッズを事前に準備しておくと安心でしょう。

医療機関で処方・作製するマウスピースは旅行先でも使用でき、コンパクトで携帯しやすいのが特徴です。

ただし、歯型をとる必要があるため、旅行の少なくとも1か月前には歯科または医療機関に相談しておきましょう。

3-4.口周りの筋肉を鍛える

睡眠中に口呼吸になると、舌が喉に落ち込んで気道をふさぐので、気道が狭くなっていびきが出やすくなります。

口呼吸を防ぐには、口周りや舌の筋肉を鍛えることが効果的とされています。

筋力がつくことで口が自然に閉じやすくなり、いびきの改善が期待できることがあります。

また、舌も正しい位置に収まりやすくなり、喉への落ち込みを防ぐ助けになるでしょう。

「あいうべ体操」は、口周りと舌の筋肉を鍛えるための簡単なトレーニングです。

「あ・い・う・べ(舌を出す)」と口を大きく動かし、毎日続けることでいびきの改善に役立つとされています。

旅行の前から習慣にしておくとよいでしょう。

◆「口呼吸がいびきにつながる理由と予防法」>>

3-5.宿泊先の部屋タイプを事前に検討する


旅行前に宿泊先を予約する段階で、部屋タイプをひと工夫しておくと安心でしょう。

いびきが気になる方は、大部屋や相部屋ではなく、個室またはツインルームなどのベッドが複数ある部屋を選ぶことで、同行者への影響を減らすことができます。

ホテルによっては、コネクティングルーム(隣り合った部屋をドアでつなげるタイプ)を選ぶことも可能です。

日中は一緒に過ごしながら、就寝時だけ別々の部屋で眠れるため、いびきが気になる方にとって使いやすい選択肢の一つといえるでしょう。

旅行の予算や同行者との関係性に合わせて、事前に検討してみてください。

4.旅行中のいびき対策


旅先では環境の変化や飲酒など、いびきを悪化させる要因が重なりやすいものです。

ここでは、旅行中にすぐ実践できるいびき対策を紹介します。

旅を思い切り楽しむためにも、また疲れを十分に癒すためにも、できることから試してみましょう。

4-1.グッズや機器を使用する


いびきの原因がわかっている場合は、それに合ったいびき防止グッズを活用するのがおすすめです。

たとえば、睡眠中に口が開いてしまう方には、口を閉じるテープマスクが役立つことがあります。

鼻づまりが原因でいびきが出る方は、部屋の加湿を行いましょう。

部屋に加湿器があれば使用し、ない場合はバスタブにお湯を張ると湿度を上げることができます。

また、花粉症のある方は、旅先でも花粉対策を忘れずに行いましょう。

部屋に空気清浄機があれば積極的に活用することで、室内の花粉を減らす効果が期待できます。

特に春先の旅行では窓の開閉にも気をつけ、外出後は衣類についた花粉を払ってから部屋に入るようにすると安心でしょう。

【参考情報】『花粉症環境保健マニュアル』
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/full.pdf

睡眠時無呼吸症候群と診断されている方は、普段治療で使っているCPAP(シーパップ)マウスピースを忘れずに持参し、旅行中も使用しましょう。

なお、飛行機の機内でCPAPを使用する場合は、航空会社に事前の連絡が必要です。

主に国際線での使用が認められているケースが多く、電源の確保方法も航空会社によって異なりますので、出発前に必ず問い合わせておきましょう。

4-2.睡眠前のリラックスで質を高める

旅先での疲れやストレスを和らげることも、いびき対策につながります。

旅行中は日中の活動量が増えて疲れやすく、それがいびきを悪化させる一因になることもあります。

就寝前にシャワーや入浴で体を温め、リラックスした状態で眠ることを心がけてみましょう。

スマートフォンやゲームを寝床に持ち込むと眠りにくくなることがあるため、眠る30分前はできるだけリラックスする時間にすると、睡眠の質の向上につながりやすくなるでしょう。

【参考情報】『健康づくりのための睡眠指針2014』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000041499.pdf

5.対策しても効果が感じられない場合


いびき対策を試しても改善が感じられない場合、単なる生活習慣の問題ではなく、病気が原因になっている可能性があります。

この章では、慢性的ないびきの背景にある「睡眠時無呼吸症候群」について、症状・リスク・受診の目安をわかりやすく解説します。

5-1.睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群には、気道が狭くなることで生じる閉塞性と、心臓や脳などの病気によって生じる中枢性の2種類があります。

ほとんどの方は閉塞性タイプといわれています。

閉塞性タイプの方の主な症状として、毎晩のように繰り返されるいびきがあげられます。

いびきの音が大きいため「眠れない」と同室の方に伝えられたり、いびきの途中で一瞬息が止まり、一緒に寝ている方に心配されることもあるようです。

ほかにも、起床時の頭痛日中の強い眠気といった症状が現れる方もいらっしゃいます。

◆「睡眠時無呼吸症候群」についてもっとくわしく>>

5-2.睡眠時無呼吸症候群が体に与える影響

睡眠時無呼吸症候群は、適切なケアを受けることで改善が期待できる病気です。

一方で、長期間そのままにしておくと、睡眠中に繰り返される酸素不足が心臓や血管に少しずつ負担をかけ、高血圧や生活習慣病などに影響することがあるといわれています。

ただし、こうしたリスクは適切な治療を受けることで対処できるとされており、早めに医療機関に相談することが、健康を守るうえでの一つの安心につながるでしょう。

◆「睡眠時無呼吸症候群と血圧の関係」>>

5-3.受診を検討した方がよい症状

次のような症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性も考えられるため、一度医療機関に相談することをおすすめします。

・いびきが毎晩のように続いている
・いびきの途中で呼吸が止まると指摘された
・朝起きたときに頭痛や強い疲労感がある
・日中に強い眠気を感じる
・集中力が続かない

このような症状がある場合は、睡眠中の呼吸状態を調べる検査を行うことで、原因を確認することができます。

6.おわりに

旅行中のいびきは、生活習慣の見直しやグッズの活用、宿泊環境の工夫などで軽減できることがあります。

まずはできることから少しずつ試してみましょう。

それでも改善が感じられず、慢性的ないびきや日中の強い眠気が続く場合は、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性もあります。

気になる症状があれば、一度医療機関に相談してみてください。

◆当院の睡眠時無呼吸症候群治療について>>

以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 家族にいびきや呼吸の止まりを指摘されたことがある
  • 日中に強い眠気を感じる
  • 朝起きたときに頭痛や口の渇きがある
  • 十分寝ているのに疲れがとれない
  • 夜中に何度も目が覚める

当てはまる項目がある方は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けてみませんか?

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