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外来

【喘息と診断された】原因・検査・治療から悪化防止のコツまで解説

医学博士 三島 渉(横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長)
最終更新日 2026年06月08日

喘息と診断され、「治るのか」「薬はいつまで続けるのか」と不安を感じていませんか。

「自分は軽いのか重いのか分からない」「発作はどのくらい危険なのか知りたい」という方も多いでしょう。

喘息は気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こる病気ですが、適切な治療と自己管理を続けることで、多くの場合は症状を安定させることが可能です。

本記事では、原因や検査の内容、治療の考え方、日常生活で気をつけるポイントまで、わかりやすく解説します。

1.喘息の原因

喘息だと診断されたら、発作を起こす要因を避けるとともに、重症化につながる生活習慣を見直して、症状をコントロールしていきましょう。

そのためには、自分の喘息のタイプを知っておくことが肝心です。

1−1.小児はアレルギー、成人はさまざまな要因が重なりやすい


喘息の原因は、大きく2つに分けられます。ひとつはアレルギーによるもの、もう一つは過労やストレスなど、アレルギーとは別の原因によるものです。

【参考情報】『Asthma』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/symptoms-causes/syc-20369653

小児の喘息は、ダニやハウスダストなどのアレルギーが主な原因であることがほとんどです。

一方、大人の喘息(成人喘息)では、アレルギーが関わっている場合も多いのですが、それに加えて過労やストレス、風邪、天候の変化、飲酒など、アレルギー以外の要因が複雑に絡み合って発症するケースが増えるのが特徴です。

そのため、大人になってから初めて喘息と診断された方の中には、はっきりとしたアレルギーの原因が見つからないことも珍しくありません。

また、子どもの頃に喘息が一度治まったように見えても、大人になってから環境の変化などをきっかけに、再び発症(再発)することもあります。

◆「喘息のタイプ~原因別・年齢別」をチェック>>

1−2.喘息とは別の原因で咳が続くことも

喘息以外の病気でも、咳が2週間以上続くことがあります。咳の原因は多岐にわたり、それぞれ治療法も異なるので、咳=喘息と自己判断せず、必ず病院で診断を受けましょう。

◆「喘息と間違いやすい病気」について>>

特に慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、放っておくと呼吸困難で寝たきりになったり、最悪の場合は命を落とすこともあるので、早期発見・早期治療が大変重要な病気です。

◆「長引く咳の原因」について詳しく>>

2.喘息の検査について


病院では、喘息なのか他の病気なのかを判断するため、血液検査、画像検査、呼吸機能を調べる検査をします。

喘息は症状だけでは確定できないため、症状の経過と客観的な検査結果を総合して診断します。

検査の結果、喘息を引き起こす原因が分かったら、それらの原因をできるだけ避けてください。

喘息の診断では、単に症状だけで判断するのではなく、「気道が、何らかの刺激で狭くなったり、薬などの助けで元に戻ったりするかどうか」を確認することが重要です。

呼吸機能検査では、気管支拡張薬を吸い込む前と後で、数値がどの程度改善するかを比較します。もし薬の助けによって通り道がスムーズに広がるのであれば、それは喘息であることを示す大きな特徴といえるでしょう。

こうした客観的なデータを確認することで、肺の組織が壊れて元に戻りにくいCOPDなど、他の呼吸器疾患との見極めを進めていきます。

また、血液検査では好酸球数やIgE値などを確認し、アレルギー体質がどの程度関わっているかを調べます。

胸部X線やCT検査は、肺炎や腫瘍など別の病気が隠れていないかを確認する目的で行われます。

◆「呼吸器内科で行われる専門的な検査」について>>

3.喘息の治療について

喘息は、気道の炎症を抑えて発作を予防する「吸入ステロイド薬」を中心に治療します。

3−1.喘息の重症度について

「喘息と診断された」際、まず気になるのがご自身の症状の重さではないでしょうか。医師は、症状が出る頻度や強さを目安として、症状を以下の4段階に分類します。

もっとも軽い「軽症間欠型」は、症状が週に1回未満で、日常生活にほとんど支障がない状態です。

続く「軽症持続型」になると、週に1回以上症状が出ますが、日常生活は比較的保たれています。

さらに「中等症持続型」では、毎日のように症状が現れ、夜間に発作がみられることも少なくありません。

そして、もっとも重い「重症持続型」は、日常生活に大きな影響を及ぼすほど強い症状が続く段階を指します。

ただし、現在は「重症度」よりも「コントロール状態」を重視する考え方が主流です。適切な治療を継続すれば、たとえ重症度が高いと診断されても、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能になります。

◆「喘息の重症度」をチェック>>

3−2.薬物療法


喘息治療で基本となる吸入ステロイド薬は、気道の炎症を改善する薬です。体調がよくても、症状がなくなっても、毎日続けて使用する必要があります。

その他、発作が起きたときに鎮める「リリーバー(発作治療薬)」、気管支を広げる「気管支拡張薬」などを、患者さんの状態を見ながら組み合わせていきます。

◆「喘息治療で使う吸入薬」についてさらに詳しく>>

3−3.心身の機能を高める

心肺機能を高める運動や、自律神経のバランスを整える訓練法が治療の補助として用いられることもあります。

症状が落ち着いてきたら、主治医と相談の上、体力作りやメンタルトレーニングにもぜひチャレンジしてください。

◆「喘息の方におすすめのスポーツ」について>>

3−4.自己管理


喘息の症状をコントロールするためには、患者さん自身の自己管理が欠かせません。

毎日ピークフロー値を測定し、喘息日記に記録して自分の状態を把握すること、そして、日々の生活の中から発作の原因となる習慣を取り除くことが大切です。

喘息の症状がどの程度「コントロールできているか」を評価する目安として、次のポイントが広く使われています。

・日中の症状が週に2回以内かどうか
・ 夜間に症状で目が覚める回数
・救急薬(リリーバー)の使用頻度
・日常生活(運動・仕事・睡眠)に支障が出ていないか

これらは喘息のコントロール状態を評価する国際的な基準にもとづく考え方です。
例えば、

・日中の症状が週に2回を超える
・夜間に症状で目が覚めることがある
・救急薬の使用が頻繁

このような場合は、十分にコントロールされていない可能性があり、治療内容の見直しが必要になることがあります。

この評価は日々の生活の中で症状を客観的に把握するのに役立ち、医師との治療調整にもつながります。

◆「症状をコントロールする習慣」について>>

4.悪化を予防するには

発作を引き起こす要因は、人によって違いはありますが、どの患者さんにとっても重要なのは、風邪やインフルエンザなどの「呼吸器感染症の予防」です。

4−1.自分に合ったマスクを選んで正しく着用

横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニックでは、喘息の患者さんにマスクの着用をおすすめしています。ハウスダストや花粉などのアレルゲン物質、風邪やインフルエンザなどのウイルスをガードして、喘息の発作や悪化を防ぎましょう。

マスクの効果は、大きさや付け方によっても変わってきます。また、最近はさまざまな機能を備えた製品も販売されているので、自分にピッタリ合ったマスクを選んで、正しい方法で使いましょう。

◆「マスクの付け方・選び方」について>>

4−2.季節や天気の変化をこまめにチェック

喘息の発作は、秋に多くなる傾向があります。また、急に気温が下がる時にも多くなります。

天気予報を見ながら、発作のリスクを軽減するための対策をとり、症状をコントロールしましょう。

◆「秋になると咳が出る・増える原因と対策」について>>

4−3.カビが発生しにくい環境を整える

カビは、アレルギー型の喘息の人にとっては大敵です。また、非アレルギー型喘息の人や健康な人にとっても、病気を引き起こす危険があります。

カビのあるところには、必ずダニもいます。また、ホコリの中にもカビやダニが含まれているので、健康な暮らしを守るためにも、カビ・ダニ・ホコリ対策を行いましょう。

◆「カビと掃除の注意点」について>>

5.喘息発作が起きてしまった時の対処法


喘息の発作は症状の大きさによって、「小発作」「中発作」「大発作」に分けられます。

もしも突然喘息の発作が起こったら、症状の大きさに応じて対処しましょう。大発作が起こったら、すぐに救急車を呼ぶなどして、一刻も早く病院に行ってください

◆「緊急時の対処法」について>>

6.喘息と上手に付き合うために

喘息になっても、専門的な治療と自己管理を続けることで、健康な人と変わらない生活を送ることができます。そのために知っておきたい日常生活での事柄をまとめました。

6−1.旅行を安心して楽しむために

喘息だからといって、旅行を控える必要はありません。ただし、特に海外旅行の前には準備が必要です。

国内旅行や日帰り旅行の際も、まさかの発作に備えて、薬は必ず持参しましょう。飛行機に乗る場合は、機内の乾燥対策も忘れないようにすることも大切です。

◆「旅行」について>>

6−2.ペットを飼うときの注意点

一緒に暮らしているペットが原因で喘息の症状が出ているとしても、手放すのは難しいことが多いでしょう。

ペットと共に暮らしていくためには、掃除の徹底のほか、ペットの体調にも気を配り、自身とペットに必要なケアを行ってください。

◆「ペット」について>>

6−3.妊娠についての注意点

喘息を抱えていても、適切なコントロールを続けていれば、健康な方と同じように妊娠・出産を叶えることは十分可能です。

現在は喘息治療の主流である吸入薬を中心に、胎児への安全性が確認されたお薬が数多く揃っています。これらは国内外のガイドラインでも推奨されており、実際に多くの方が治療を継続しながら元気な赤ちゃんを出産されている実績も豊富です。
もっとも避けたいのは、赤ちゃんへの影響を心配するあまり、自己判断でお薬を止めてしまうことです。

お母さんが喘息発作を起こして低酸素状態になると、かえって胎児の発育を妨げるリスクを高めてしまうからです。

喘息と妊娠についての正しい知識を持ち、主治医としっかり連携しながら、安心して赤ちゃんの成長を見守っていきましょう。

【参考情報】『Asthma & Pregnancy』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/9568-pregnancy-asthma

6−4.喘息の子どもが保育園や幼稚園に入る時は

喘息のお子さんが保育園や幼稚園に入園する際には、配慮してほしいことや発作が起きた時の対処法を園側に伝えておきましょう。

遠足やお泊りなどの行事は、事前に内容を確認しておきましょう。行き先がホコリの多い場所だったり、花火など煙が出るイベントが含まれていたりする場合は、主治医や園の先生に相談しましょう。

◆「喘息の子どもと保育園・幼稚園」について>>

6-5.喘息は治る?長期管理の考え方

「喘息と診断された」ばかりの方は、「一生この病気と付き合い、薬を飲み続けなければならないのか」と強い不安を感じるかもしれません。

しかし、現代の喘息治療のゴールは、適切な管理によって「症状がなく、健康な人と変わらない生活を送ること」です。

喘息は、体質そのものを変えてしまうという意味での「完治」は難しい病気ですが、多くの場合は適切な管理により、長期間にわたり症状が出ない状態(寛解:かんかい)を維持できる方がたくさんいらっしゃいます。

これは、日々の自己管理と医師との連携、そして発作を予防する治療薬を根気強く継続することで実現します。

喘息治療の基本は、発作が起きたときだけ薬を使うのではなく、気道の炎症を根本から抑える「長期管理薬(吸入ステロイド薬など)」を中心に使用することです。これにより、発作そのものを未然に防ぎやすくなります。

また、症状が落ち着いたときに自己判断で薬を止めてしまうと、自覚症状がなくても気道の炎症が再燃し、再び激しい発作が起こりやすくなるリスクが高まります。

症状が改善したあとも、医師の指示に沿って治療を継続し、炎症をしっかり抑え込むことが、将来的な重症化を防ぐための最も大切なポイントです。

【参考情報】『5 ways to keep your asthma under control』WHO
https://www.who.int/news-room/feature-stories/detail/dont-let-asthma-hold-you-back-5-ways-to-make-sure-that-you-are-in-control-of-your-asthma

6-6.よくある質問(FAQ)

喘息と診断されたあと、「一生続くのか」「薬はやめられるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。よくある質問をまとめました。

Q1. 喘息は一生続きますか?
A.喘息は気道の慢性的な炎症を伴う病気であり、「完治」という表現は難しいとされています。

これは、症状がなくても気道の炎症がくすぶっている場合があるためです。

ただし、適切な治療と自己管理を継続することで、長期間にわたって症状が出ない状態(寛解)を維持できる方も少なくありません。症状の経過には個人差があるため、主治医と相談しながら継続的に管理していくことが大切です。

◆喘息治療のゴールと治療法」について>>

Q2. 吸入薬は一生続けなければなりませんか?
A.症状が落ち着いている場合でも、自己判断で吸入薬を中止することは推奨されません。

気道の炎症は自覚症状がなくても続いていることがあり、急に薬をやめると発作が再び起こりやすくなる可能性があります。治療の継続や減量については、必ず医師と相談しながら段階的に調整します。

Q3. 運動やスポーツはしても大丈夫ですか?
症状が安定していれば、多くの場合は運動やスポーツを行うことが可能です。

実際に、治療を継続しながら競技に取り組んでいる方もいます。ただし、発作を予防するための対策や事前の確認が必要です。運動を始める際は主治医と相談し、無理のない範囲で行いましょう。

【参考情報】『Being Active with Asthma』American Lung Association
https://www.lung.org/lung-health-diseases/lung-disease-lookup/asthma/managing-asthma/asthma-and-exercise

7.おわりに

はじめに述べたように、喘息は完治しない病気ではありますが、「治らない」というのは、「ずっと症状が出て苦しいまま」という意味ではありません。

普通の人とあまり変わりない日常生活を送ることもできますし、治療しながらスポーツ選手として活躍している人もたくさんいます。

ただ、調子が良くなってきたときに吸入ステロイド薬の使用を忘れがちになったり、自分の判断で治療をやめてしまったりすると、せっかく治まっていた気道の炎症が再び悪化して重症化します。

そうならないためにも、喘息のことを正しく理解し、不安や症状の変化があれば早めに主治医へ相談しながら、継続的に治療を行いましょう。

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以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします

  • 咳が2週間以上続いている
  • 息切れや息苦しさを感じることがある
  • 痰がからんで気になる
  • 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
  • 市販薬を飲んでも症状が改善しない

当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?

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